2人でトボトサプリメント マカ

 2人でトボトボと畑に囲まれた道を歩く。まぁ、トボトボポリ ペプチドしているdha epa dhaのはミモザだけでレオンハルトは相変わらずの堂々たる足取りだ。
 ミモザはちらり、と無言で隣を歩く師を見上げた。
「あのぅ、もしかしてなんですが」
「うん?」
 ミモザの言葉を聞くように、レオンハルトは向き合う形で足を止めた。ミモザも立ち止まる。
「アベルのこマカ と はと、嫌いですか?」
 その疑問に彼はにっと犬歯をみせて意地悪く笑う。それはイタズラが見つかった子供のような笑みだった。
「わかるか?」
「えっと、まぁ、そうかなって」
「嫌いだよ、あんな奴」
 そう吐き捨てるように言った後、ふと思い直したように彼は「ああ」と吐息を漏らした。
「しかしそんなにわかりやすかったか、気をつけないといけないな」
「いえ、そこまであからさまではありませんでしたので。でもまぁ、楽しそうだなアントシアニンぁと」
「ふっふ、いやすまない。君にとっては災難だったとは思うのだが……」
 そこでどうにも堪えきれないというようにレオンハルトは笑みをこぼす。それを隠すように手で口元を覆った。
「嫌いな奴を正論で追い詰めるというのは愉快でつい、な。バレないように自重しなくては」
「……あなたにとって幸いであったなら僕も嫌な目にあったかいがあります」
「ここは不謹慎だと責める場面じゃないか?」
 不思議そうに首を傾げるレオンハルトにつられるように、ミモザも「うーん」と首を傾げた。
 2人は鏡写しのように向き合って同じ方向へ首を傾げる。
「僕1人だったら嫌なdha epa dha目にあったっていうだけの話でマイナスで終わっちゃうんですが、あなたが喜んでくださるなら補填されてプラスの出来事になるじゃないですか。意味もなく嫌な目にあったわけじゃないと思えるので」
「ネガティブなのかポジティブなのかわからない理屈だな」
 まぁ、君らしいか、とレオンハルトは微笑む。
「まぁ、君がそう言ってくれると俺も遠慮なく面白がれるというものだ」
「悪い人ですね」
「言っただろう」
 首を傾げるのをやめてレオンハルトは笑った。
「俺は不公平な人間なんだ」
 それは悪党にふさわしい凄みのある笑みだ。
「贔屓するべきは僕じゃなく家族なんじゃないでしょうか?」
 しかしミモザは首を傾げたままだ。ミモザのその疑問に、レオンハルトは笑みを深めた。
「ふふふ、不思議か」
「二人は仲が良いのだと思ってました」
「まさか。あの能ポリ ペプチド天気で恵まれた弟が疎ましくてたまらないさ。格好悪いから言わないだけだ」
 そうだなぁ、とレオンハルトは周囲を見渡す。辺りに人影はなく、あるのは畑と用水路だけだ。
「食べ損ねた昼食でもどこかでとるか」
「よろしいのですか?誰かに見られたら……」
 ミモザとレオンハルトがぐるだとバレてしまうのではないか、そんな不安がよぎる。しかし彼はそんなミモザの懸念を一笑にふした。
「いじめられて落ち込んでいる子どもを慰めるだけさ」
「なるほど」
 それなら、とミモザは頷いた。

 2人並んで適当な木陰へと座り、畑を眺めながらサンドイッチを食べる。用意したコップには水筒からいつものミルクティーをそそいでいた。
「俺の父親はどうしようもないろくでなしの呑んだくれでな、精霊騎士としては優秀だったようだが酒で問題を起こして軍を首になってからは更に荒れた。母親は娼婦でこっちも酒癖の悪いかんしゃく持ちでね。幼い頃は二人によってたかって殴られたものだよ」
 遠い記憶を思い起亜鉛の効果こすようにゆっくりとレオンハルトは語った。その口調は内容とは裏腹に随分とのんびりとしており欠片も悲壮感はない。
「ああ、同情は不要だ。母親は俺が幼い頃にあっさり死んだし、父親も俺の身体がでかくなって敵わなくなると大人しいものだったよ。それに俺は元から両親のことを好きではなかったし、なんの期待もしていなかった。まぁ可愛げのない子どもだったんだな」
 この傷も父親がやったものだ。と右目の火傷跡を見せる。
「幼い頃に、なんだったかな。火鉢の炭だったかなんだったかを押し付けられたんだ」
 ああ、火鉢ってわかるか、中に焼いた炭を入れる暖房器具なんだが、とジェスチャーをし始めるのに、「知ってます」とミモザは頷いた。
「見たことはありませんが、知識としては」
「そうか、正直今では廃れて使ってるのなんて魔導石もろくに買えないような貧乏人だけだろう」
「そうなんですか」
 ミルクティーに視線を落としながらミモザが相槌を打つのに、レオンハルトは苦笑して頭を掻く。
「まぁ、可愛くない子どもは蔑ろにされて当然だ」
 誤魔化すように言われた言葉にミモザは顔をしかめた。
「……当然じゃないですよ」
 全然当然ではない。
「おかしいです」
「……そうか」
 レオンハルトはアントシアニン否定せず、何故かミモザを慰めるように頭を撫でた。慰められるべきはレオンハルトだというのに変な話だ。
「もしまたそのようなことがあれば、今度は僕が守ります」
「すまないが、俺はもう自分自身で身を守れるし君よりもずっと強い」
 そう言いつつもレオンハルトの口元は嬉しげに緩んでいる。ミモザはつまらなそうに口を尖らせた。
「アベルの母親のカーラさんと再婚した頃は一番穏やかだった。たった4年しか持たなかったがね。彼女は賢明な女性だった。親父の『病気』が再燃するとすぐさま切り捨てた。……一応俺のこともアベルとともに引き取るつもりだったようだ。しかしそれは親父が拒んだ。別に俺に愛情があったわけじゃない。カーラさんに嫌がらせがしたかったのさ」
 そこで彼はミルクティーで口を湿らせた。普段こんなに長く話すことのない人だ。どうやら話しずらいらしい。先ほどからあまり視線が合わない。
「2人で王都へ行ってからの日々は最悪だったよ。しかしまぁ、王都にいたおかげで道が開けたとは言えるだろうか。俺は生まれつきガタイが良くて強かった。しばらくの間は精霊使いとして小銭を稼いで暮らしたよ。王都では需要に事欠かなかったからな。その関連で人に精霊騎士を目指してはどうかと言われてこうなったのさ」
 精霊使いというのは騎士の資格は持たないが精霊で戦うことを生業としている人達のことだ。騎士になるには色々と条件があるため、あえゴーヤて騎士にならずに精霊使いとして働く人も多い。むろん、資格職なぶん、精霊騎士のほうが収入は安定していることが多いのだが。
 最初弟とカーラに会いに行ったのは安心させるためだったのだ、と彼は言った。
「彼女は俺のことも実の息子のように可愛がってくれていた。だから俺が無事であるということと、数年とはいえ穏やかに暮らさせてもらったことの恩返しもできたらと思っていたんだ。金は受け取ってはもらえなかったがね」
 苦笑する。伏せられた金色の瞳を憧れるように細め「彼女は理想の母親だった」と囁いた。
「弟のことも可愛がるつもりでいたさ。だが俺がくだらない親父の相手をしている間も、貧困に喘いでいる間も、あの弟は彼女のもとでぬくぬくと育っていたのだと思うと可愛がる気になれなくてな。この田舎の村で俺のことを笠にきて自慢するのを見ていると、ますます萎えてしまった。まぁ、あいつは別に悪くないさ。ただ逆の立場だったらと思う事が時々ある。要するに、ただのみっともない嫉妬さ」
「そうですか、なら僕と同じですね」
 ミモザの言葉に、やっと彼はミモザのほうを向いた。ミモザはそれを見つめ返す。
「僕には出来のいい姉がいて、彼女は僕の欲しいものを全部持ってるんです。だから僕はそれが羨ましくて……」
 体育座りをしている膝に、こてん、と頭を預けてミモザは無邪気に笑った。
「僕たち、おそろいですね」
「……嫌なお揃いだな」
 苦虫を噛み潰したような顔をしてみせて、しかしすぐにレオンハルトは口元に淡い笑みを浮かべた。
「初亜鉛 サプリ おすすめめて人に話した」
「僕もです」
「内緒だぞ。格好が悪いからな」
「はい」
「君の話も内緒にしておいてあげよう」
「まるで共犯者みたいですね」
「まるでじゃないさ」
 ミモザが見つめる先で、彼は金色の目をにやりと歪めて悪いことに唆すような甘い声を出す。
「俺と君は共犯者だよ、間違いなく。だって一緒にアベルのことを陥れただろう」
 人差し指を一本立てて見せると、それをミモザの唇へと押し当てた。
「内緒だ」
 しー、と吐息を吐き出す彼に、ミモザも同意するようにしー、と息を吐き出した。
 2人は身を寄せ合って笑った。
ゴーヤポリ ペプチドdha epa dhaアントシアニンの効果

 何が起きゴーヤ

 何が起きたのか分からなかった。
ゴーヤ ちりちりと何かが焼けこげているようなクロム熱と臭気に包まれながら、それを呆然と見上げる。
 熊達の首から上が吹き飛んでいた。
「そのまま伏せていろ」
「ひぇっ」
 声と共に熱波が頭上を掠める。おそるおそる顔を上げると、残りの熊達の首も跳ね飛ばされているところだった。
「……くびちゴーヤょんぱだ」
 どさどさと音を立てて首なしの遺体が目の前に積み上がる。
「無事か?」
 その悪夢のような光景を一瞬で作り上げた人物は、状況にそぐわぬ落ち着いた声でのんびりと聞いてきた。一応疑問形はとっているがその口調は無事を確信している。
「……レオンハルト様」
 そこにはまごうことなき最強の精霊騎士の姿があった。

「どうしてここに……」
「うん?時々様子を見サプリメント マカに来ると言っただろう」
 差し出された手をとり立ち上がる。どうやら彼は忙しい仕事の合間を縫ってミモザの様子を見に来てくれたようだった。
 てっきりミモザのことなどもう忘れてしまったか相手をするのが億劫になってしまったかと思っていたので驚く。その表情からこちらの気持ちを察したのだろう。レオンハルトは少々気分を害したように眉を顰めた。
「別に忘れていたわけでも投げ出したわけでもない」
「え、へへへ、もちろんです。そんなこと思ってませんよ!」
「まったく…、まぁ、出していた課題はきちんとこなしていたようだな」
 ミモザの服から出ている筋肉のついた腕や足を見て、「そこは褒めてやろう」と鷹クロム揚に頷いた。
「そこに着けたんだな」
  ふと気がついたように彼が言う。視線を辿るとそれはミモザの首元、レオンハルトにもらった黄色い宝石のついたリボンに向いていた。
「ああ」と頷いてミモザは遠い目になる。大変だったのだ、色々と。
 最初は見えないように服の中、腕や足につけようとした。なぜならこんな高価そうなものを持っていれば母や姉に何かを言われることは必至だったからだ。
 しかしこの魔導具、どうやらこの宝石部分を隠してしまうと効果がないらしかった。そのためなんとか目立たず宝石が隠れない場所を模索したが、そんな場所は思いつかなかったのである。
 仕方なくレオンハルトを真似して髪につけようとして、髪が短くて断念した。次に腕につけたがいつ汚れるか壊してしまうかとハラハラしてしまい落ち着かず、最終的に落ち着いたのが首ゴーヤにチョーカーのように巻くという現状である。
 当然のことながら、母には「そんな高そうなものどうしたの?」と心配げに聞かれ、姉には「いいなぁ、わたしもそういうオシャレなの欲しい」と詰め寄られた。
 それに対してミモザは「誕生日プレゼントにもらった」「これあんまり高くないよ!宝石じゃなくてイミテーションだって」で無理矢理押し通した。実は春生まれでレオンハルトに出会う1ヶ月前に12歳になったばかりだったミモザは「少し遅めの誕生日プレゼント」と言い張った。相手に関しては「時々遊んでくれる近所のお兄さん」だと母にだけこっそりと告げた。納得はしていないようだったがそれ以上は話したがらないミモザに母はひとまず様子を見ることにしたらしい。姉はあまり高価な物ではないと聞いて欲しがるのをやめた。元々レオンハルトが着けていただけあって男性向きのデザインのため好みじゃなかったのだろう。
「えっと、他につける場所が思いつかなくて……」
 しかしそれを言っても仕方がないのでミモザは前半部分だけを割愛して伝えた。
 レオンマカハルトはそんなミモザの様子に気づいていないわけではないのだろうが、「ふうん」と気のないふうに流す。
 そして手を伸ばしてリボンの位置をちょいちょいと直し始めた。どうやら熊とやり合っている間にズレていたらしい。それだけでは直らなかったのか、彼は一度結び目を解いて綺麗に巻き直してくれた。
 巻き直すために顔が近づき、長い藍色のまつ毛が伏せられているのが間近に見える。
「よし。ああ、よく似合っているな」
 巻き終わったのかそのまま顔を上げて彼が微笑んだ。
「……はぁ、どうも」
(ドアップに耐えうる美形すごいな)
 そして紳士である。初対面の時は垂れ流しになっていた黒いオーラが今は見えないため、さらに美形に拍車がかかりその顔はきらきらと輝いて見えた。
 リボンに手で触って確認するとミモザが巻いた時よりもずっと綺麗に結ばれているように思う。
「前回会った時、落ち合う場所を決めていなかっただろう。君と初めて会った場所に行けばいいかと思っていたら、大量の野良精霊が村に向かって走っているじゃないか。放っておくと障りがありそうだったからそいつらを片付けながら様子を見に来たら君がいたんだ」
 そのまま素知らぬ顔で彼は話題を戻した。惚けていたミモザは一瞬話題についていけずぱちぱちと瞬く。そんなミモザには構わ亜鉛 サプリ おすすめず「まさかこの森でもこんなことが起きるとはな」とレオンハルトは続けた。
「この森で『も』?」
 その言葉に引っかかりを覚えてミモザは首をひねった。それを横目でちらりと流しみて「ああ」と彼は頷く。
「数はそう多くないが他の場所でも同様の事例が見られていてな。なんの前触れもなく局地的に狂化個体が大量発生するんだ。その対応と原因調査でなかなか手が離せなかった」
「原因、わかったんですか?」
 彼はその質問には答えず肩をすくめてみせた。わからなかったということだろう。
(ゲームの状況と似てる)
 主人公のステラが最終的に聖騎士の地位を賜ることになる事件。あれは確かボス精霊が狂化したことによる暴走を止めるというものだったはずだ。そしてその前兆は主人公が故郷を旅立った頃からすでに見られていた。
 この3つ目の熊はその前兆のうちの一つだ。
(ゲームが始まる前からすでに前兆があったのかな)
 もしくは本当に展開が早まってしまっているのか。
 いずれにしても、ゲームでその原因が語られていたのかどうかすらミモザには思い出せなかった。
「随分と頑張ってくれていたね」
「え?」
 思考の海にもぐっていたミモザはその声に我に返る。見上げるとレオンハルトは微笑んだ。
「君がここで抑えてくれていたから俺が間に合った。君がいなければ村に被害が出ていただろう」
「そんなことは……」
「あるさ。謙遜は美徳だが卑屈は害悪だ。自身の功績は素直に誇りなさい」
 そう言って背中を叩アントシアニンく手は力強く、ミモザを明るい方へと後押しするようだ。
「あ、りがとう、ございます」
 胸が熱くなる。涙が溢れそうでミモザは俯いた。
 努力を認められるということがこんなに得難いことなのだと、生まれて初めて知った気がした。
「さて、俺はもう少し奥の方を調べてみるつもりだが、君はどうする?」
「ご一緒させてください!」
「足を引っ張るようなら置いていくぞ」
 意気込むミモザにレオンハルトは笑顔で釘を刺す。
 わりと本気の声音だった。

 結論から言うとまるで原因となるようなものは見つからなかった。
 先ほど暴れ回っていた熊達が寝ぐらにしていたのであろう巣穴は見つかったのだが、レオンハルトによるとその巣穴自体にも周辺にも特に狂化に繋がるような不自然な点は見当たらないらしい。
「基本的には野良精霊が狂化することは非常に少ないんだがな」
「そうなのですか?」
「ああ、通常狂化というのは人間の感情に引っ張られてなるものだ。抑圧されたストレスが爆発する形で起こる。しかし野生動物はストレスが加えられても抑えるということをせずその場で威嚇という形で発散するものだ。よって狂化しにくい」
「それは…、野生動物でも追い詰められるような状況に長くさらされれば起きるということでしょうか」
 ミモザの鋭い指摘に意外そうにひょい、と眉を上げてレオンハルトは頷く。
「そうだな。そう考えてもらっていい。多くは自然災害や人間が住み家に踏み入り荒らすことで起こる。しかしこの場所は平和そのもので災害などが起こった痕跡も森が開拓された様子もない」
 これは他の場所と同じくこれ以上探っても何も出ないだろうな、とレオンハルトはぼdha epa dhaやいた。
「それって……」
 言いかけたミモザに、皆まで言うな、と彼は手を振る。
「推測の域を出ん。迂闊なことは言うものではないよ」
 そのセリフが彼もミモザと同じ可能性を思い浮かべているのだと物語っていた。
 天災でないのならばこれはきっと人災だ。レオンハルトが何件も調査していずれも痕跡がないというのならば、それは意図的にその痕跡を隠蔽しているとしか思えない。
 誰かが人為的に狂化を起こしている。
 単純に人知れず虐待などを行った結果として偶然狂化が起こっているのならばいいが、狂化を起こすことを目的としていた場合は厄介と言うより他にない。
「まぁ、この話はここまでだ。時間もないし本題に入るとしようか」
「本題?」
 首を傾げるミモザに「何のために俺がここに来たと思っている」と彼は呆れたように言った。
「君の修行をつけるためだろう」
「あ」
 すっかり頭から抜けていた。そんなミモザに彼は再びため息をつくと、
「ところで自己紹介を忘れていた。俺はレオンハルト・ガードナーという。守護精霊の名はレーヴェ。君の名前は?」
 となんとも今更なことを聞いてきた。
「えっと、有名なので存じています。ミモザと、この子はチロです……」
 ミモザもすっかり忘れていたので人のことを言えなかった。
アントシアニンクロムの効能クロムの効能ゴーヤ

「ジーンくん、……dha epa dha

「ジーンくん、……だったかしら?」
「ええ」
 ステラはジマカ サプリーンの真剣な眼亜鉛の効果差しに苦笑を返す。
「酷い誤解だわ。わたしはただ、この子を助けたいだけなの」
「そのために、それはいけないことだと諭す自らの妹に手をかけると? ステポリ ペプチドラさん、貴方は……」
 ジーンは醜いものでも見るように顔を歪めた。
「狂っている」
「酷いわ、ジーンくん」
 ステラはその強い言葉に傷ついたように目を伏せる。
「この間会った時は褒めてくれたじゃない。とても可愛いって、綺麗だって」
 思わずミモザが白けた目でジーンを見上げると、彼は誤魔化すようにごほんごほんと大げさに咳をした。
「あ、あの時はそう思ったんです。ですがdha、貴方の行動は度が過ぎている」
 そう言って強く否定するように首を横に振る。
「物事には限度がある。貴方はもう少し自分のことを客観的にかえりみるべきだ」
「……貴方は、ミモザの味方なのかしら」
 ぽつりとステラはこぼした。その口調はひどく寂しげで、そしてとても禍々しい。
「どちらの味方とか、そういう問題ではありませんよ」
 呆れたようにジーンはため息をついた。
「どちらの意見に正当性があるか、これはそういう話です」
「王都に来てから……、なんだかおかしいわ」
 ジーンの亜鉛 サプリ言葉が聞こえていないかのように、ぽつりぽつりとステラはこぼす。
「村ではみんなわたしの意見を聞いてくれた。わたしは優秀だって、優しいって、正しいって言ってくれたのに」
 ステラの表情は変わらない。涼しい表情のまま、唇にはわずかに笑みすら浮かんでいるというのに、その瞳だけがぽっかりと穴が空いたかのように薄暗かった。
「貴方はわたしよりもミモザが好きなの?」
「………。どちらが好きかで言ったら、まぁ、貴方のことは好ましくありませんね」
 ステラの瞳孔がショックを受けたように収縮する。そして一度ゆっくりと瞬きをした。
「邪魔をしないで」
「したくてしてるわけじゃないんですけど、ねっ」
 ステラから氷の破片が放たれたのを、ジーンは土壁を作ることで受け止めた。そのまアントシアニンの効果まその土壁は蛇のようにぐんっとうねると、一気に伸びてステラへと突進する。ステラはそれを避けたが、土壁はどこまでも追跡を続けた。
「……くっ」
 ステラは氷の破片を放って土壁を凍らせることでその動きを止める。しかしその時にはもう、ジーンはステラの逃げるルートを読んで土壁と挟み込むようにその背後へと回り込んでいた。
「……っ」
 切り付けられた刃をステラはなんとかレイピアで受け止めたがその切先は耳障りな音を立てて滑り、ステラの頬を掠める。
 彼女の血が宙を舞った。
(すごい)
 ジーンのことである。魔力が多いことは知っていた。しかしあれだけの量の土を動かし、なおかつそのスピードもコントロールも落とさないというのはかなりの熟練の技だ。事実ステラもミモザも攻撃は直線的で、相手を追尾するなど困難である。
 それに剣術においてもジーンに一日の長があるのだろう。そもそもステラの武器であるレイピアは斬り合いをするようには出来ていなdhaい。接近を許し切り結んでしまった時点でステラは圧倒的に不利である。
「もうやめませんか。今ならばまだ貴方の行為は未遂だ。貴方が大人しく手を引くというのなら、僕は何もしませんよ」
「わたしが悪いことをしているみたいに言うのをやめて……っ!!」
 ステラが激情したように叫ぶ。その強さにジーンは呆気に取られたように動きを止めた。
 その隙を突いてステラが氷の破片を生成する。
「危ないっ!!」
 ミモザは素早く駆けるとジーンに飛びついた。
「ぐぅ……っ!」
 氷の破片が、すんでのところで飛び込んだミモザの足を貫く。そのまま2人はごろごろと地面を転がった。
「ミモザさん!」
「………っ」
 地面には2人が転がった軌道をなぞるようにそれなりの量の血が広がった。それに気づいたジーンが声を上げるが、ミモザはすぐに起き上がると油断なくメイスを構える。ジーンもその視線を追うようにして彼女のことを見た。
 彼女ーー、ステラのことを。
 ステラは無言で佇んでいた。いつもは華やかな笑みを浮かべる口元は無感情に閉じられ、明るい輝きを宿す瞳はクロムの効能昏くよどんでいた。彼女はレイピアをひたりとミモザへと向ける。
「わたしの邪魔をしないで」
 ぞくり、と身を震わせる。ミモザは自分の死を覚悟した。
「もうやめて!」
 唐突に、悲鳴のような声がその空気を引き裂いた。
 その声にステラが夢から覚めたように顔をあげる。振り返った視線の先では、少女が頭を抱えるようにしてうずくまり、泣きじゃくっていた。
「もう、やめて。ごめんなさい、ごめんなさい、わたしが悪かったです、ごめんなさい」
 嗚咽を漏らしながら、彼女は言葉を紡ぐ。
「こんなことになるなんて思わなかったの、こんな、怪我する人が出るほどのことだなんて……」
「貴方は気にしなくて良いのよ?」
 ステラがゆっくりと彼女に近づく。少女はそれに怯えたように身を引くと、拒絶するように首を振った。
「ごめんなさい! わたしが間違ってました。ごめんなさい、ごめんなさい……っ」
「君たち、一体何をしているんだい?」
 その時落ち着いた男性の声が響いた。見上げるとそこには教会騎士団の制服を着た若い男性が立っていた。彼は訝しげに身を震わせて謝罪を繰り返す少女と血を流すミモザ、それを支えるようにするジーン、そして立ち尽くすステラを見る。
 周囲を見渡すと塔に入るために行列を作っていた人々が伺うようにこちらを見てアントシアニンいた。
(そりゃそうだ……)
 いかに距離を取った場所でのやりとりだったとはいえ、あれだけ派手にやり合えば人目につくに決まっている。心配した人々が騎士に報告したのだろう。
「とりあえず……、そっちの子は手当をしようか。あと全員話を聞かせてもらうから、詰め所まで来てもらうよ」
 彼は冷静にそう告げた。
マカ と はマカ と はクロムの効能

 今、レオンハゴーヤ

 今、レオンハルトは最大の危機に直面していた。
 それはいつもの業務ポリ ペプチドのはずだった。野良精霊の異常な大量ポリ ペプチド発生が生じたため、それを退治しに来たのだ。落ち込み気味だったミモザも調子を取り戻させるためには良かろうと連れてきてみれば、そこにはーー、
 うぞうぞとうごめく、黒光りする例の虫が大量にひしめいていた。
 何故か森の窪地に大量発生している『ゴ』ゴーヤ チャンプルーから始まる4文字の虫の姿に、レオンハルトは鎮痛な面持ちになると顔を手で覆った。
 
(死にそうな顔色だなぁ)
 そんな師匠の様子を隣に並んで一緒にその光景を見下ろしながら、ミモザは見守っていた。
 さもありなん、と思う。虫が得意なミモザですら若干気持ち悪いほどの量である。嫌いなレオンハルトに至っては言うまでもないだろう。
 レオンハルトの心情は察するにあまりある。
 やっと気を取り直したのか、レオンハルトはふぅ、と小さく息を亜鉛 サプリつくと、
「ミモザ、いけ」
 据わった目で指示を下した。
「アイアイサー!」
 心得たと言わんばかりにびしっ、と敬礼を決めてミモザはメイスを構える。
(新技を使おう)
 最近地道な努力の末に手に入れた新しい毒技である。
 ステラに負けて足を負傷し、しばしの余暇期間があったミモザは塔攻略のかたわら新たな毒を出せないか練習していたのである。
 そしてその結果手に入れた新たな毒、それはずばり『麻痺』である。
 とはいえ以前の毒同様、大した効果はなく、せいぜいがなんかピリピリするくらいである。しいていうなら指先の繊細なコントロールが狂うことがあるかも知れない。
 しかし虫相ゴーヤ チャンプルー手なら人間相手よりかは効くだろう。
 いちいちこの数を傷つけるなど馬鹿らしいので今回はMPの節約をやめて空気中に毒を放出することにした。
「見よ! これこそ僕の新技!!」
 誰ともなしに告げるとはっ、と気合いを入れてミモザはメイスを前に突き出す。
 とたんにメイスの周辺にいる虫達がバタバタと倒れて動かなくなった。
「………」
 ミモザは無言でしばらくメイスを蠢く虫目掛けて左右に振る。気分はスプリンクラーである。
 しばらくそうしているとやがて全ての虫が動きを止めた。
 ミモザはぐっとガッツポーズを決める。
「見てください! レオン様! 僕の新技、その名も『殺虫剤』です!!」
「素晴らしい!」
 レオンハルトは心の底から称賛するように拍手をした。

「それで、ミモザ。その後はどうだ」
 その質問がゴーヤ先日落ち込んでいたことを慮ってのことだとはわかっていた。
「ご迷惑をおかけしました」
 ミモザは丁寧に頭を下げる。その杓子定規な返答にレオンハルトはむっと顔をしかめた。
「そのようなことは聞いていない」
「おかげさまで立ち直りました。第3の塔の攻略にも行ってきましたよ」
 ステラとのいざこざがあってあの時は結局中に入れなかった第3の塔である。あの塔の中に入ると、そこにはジャングルが広がっていた。
 肝心のその試練の内容はというとーー、
 ミモザはげんなりと思い出す。
 高速移動で走り回るなんかよくわからない植物の捕獲である。
 奇声をあげながら走っているので特に見つけるのは難しくないのだが、とにかく逃げ足が早くてなによりも走る姿が気持ち悪い。
 紫のまだら模様の花弁に黒に近い緑色をした茎、赤い葉っぱを腕のようにうねらせながら高速で根っこを足のように回転させて走り回る姿は、はっきり言ってただの怪異である。
 めしべに当たる部分の色が金銀銅のいずれかであり、それで祝福のランクが決まるのだdha epa dhaが、なにしろ走り回っているものだから捕まえてみるまでその色がわからない。
 元気よく塔の壁を駆け登る姿にここに梯子があればと思い、捕まえる時に触りたくなさすぎて網があればと願う。
 もしかしたらその切なる願いが合成の技術を得るために必要なのかも知れない。
 捕まえてみるとそれはちょっと湿っていてぬるっとしていた。そのうごめく植物の中央部が銅色なのを見て、ミモザは迷うことなく無言で最上階へと向かった。
 もう捕まえたくなかったからだ。
 ちなみに奇声のように思えた音は葉っぱが擦れて起こる音だったらしい。あまりにもその動きが鬱陶しすぎてその胴体である茎の部分を葉っぱごとぎゅっとわし掴んだ際に音が出なくなって判明した。特に知りたくはなかったが最上階まで行く途中に他の試練を受けている人がどうしたら大人しくなるのかを尋ねてきたので教えることができたのはまぁ、善行だっただろう。
 遠い目をするミモザに第3の塔と聞いて色々と察したのか「そうか」とレオンハルトは頷いた。
「ちなみにレオン様はその、この塔を攻略した時にあの植物は……」
 一体どうしたのだろう、と思って尋ねると「ああ」とレオンハルトは軽く頷いた。
「殺して持っていった」
 真顔である。
「…………」
「厳密には殺すと言う表現は誤りだな。知らないのか? あの植物クロムは生物ではない。祝福のために作られた何かだ。その証拠に最上階まで上がったら姿が鍵に変わっただろう」
「え、あ、はい……」
 それはそうなのだが、あの得体の知れない植物を殺す度胸はミモザにはない。
 なんだか祟られそうな怖さがある。
 やっぱりすごい人だなぁとその思い切りの良さと迷いのなさに感服しつつ、あの謎の植物が平気でゴキブリがダメなのは何故なのだろう? と首を傾げた。
(何かトラウマでもあるのだろうか……?)
 ミモザにはちょっと理解できそうになかった。
dha epaゴーヤサプリメント マカ

 木陰からそマカ

 木陰からそクロムの手は伸びていたマカ サプリ。大きくふしだった男の指先が『それ』とミモザの手にするモーニングスターメイス、チロのことを示す。
 チロからは黒い塵のような魔力のオーラが漏れ出ていた。
 慌てて背中にチロのことを隠すが、男のセリフからも、もう遅いのは明白だ。
 声とともにゴーヤ影から姿を現したのは引き締まった体に教会に属する精霊騎士であることを示す白い軍服を身にまとった美丈夫だった。
 夜空のように深い藍色の髪は豊かに脈打ちリボンで一つに束ねられて背中を流れ、その長い前髪で右目は隠されているものの黄金色の左目がこちらを眼光鋭く見据えていた。
 彼の背後にはミモザの背丈ほどもある翼の生えた大きな黄金の獅子が同じくこちらを睥睨している。
 その王者然とした堂アントシアニンの効果々たる体躯の男にミモザは見覚えがあった。
(嘘だろ)
 心中でうめく。
 彼の名はレオンハルト。
 いじめっ子のアベルの腹違いの兄であり、この国最強の精霊騎士である『聖騎士』の称号を冠する最強の男であった。

 『狂化個体』は取り締まりの対象である。
 その多くは欲望に理性を飲まれてしまい何をするかわからないからだ。
 実際、ゲームの中のミモザとチロも最初はささやかな嫌がらせをする程度だったのが段々とヒートアップしていき、最後の方はかなり直接的に主人公達に危害を加えようとしていた。
 ミモザは後退る。
「いや、これは……っ」
 なんとか言い訳を捻り出し逃げ道を探そうマカとして、不意にその体が発火するような熱につつまれ、息が詰まって二の句が告げなくなった。
「……はっ」
 呼吸が荒くなる。動悸がする。
 一瞬レオンハルトが何かをしたのかと疑ったが、すぐに違うことに気がついた。
「チゥーー」
 チロが低く唸る。
 チロが身に纏った黒い塵のようなオーラが、チロを握る手を伝い、ミモザの身体も飲み込もうとしていた。
「……あっ、」
 体が勝手に臨戦態勢をとる。チロに引っ張られるようにその切先をレオンハルトへと向けた。
 彼にもミモザの状況がわかったのだろう。側に控えていた黄金の翼獅子に手をのばし、その姿を身の丈ほどの見事な刃ぶりの剣へと変じさせる。
(待て……っ!)
 心で命じるのに体が言うことを聞かない。いや、違う、あれは敵だ。
 自分達を拘束しに来た敵だ、と頭が警鐘を鳴らす。
「チチッ」 
 バレたからには殺すしかない、亜鉛 サプリとチロが囁いた。
ゴーヤ亜鉛 の サプリ

「保護研究会マカ

「保護研究会というのはそもそも何なんですか?」
 エオとロランにマカ と は遭遇したミモザは今、
「元々はボクのご先祖であるハナコが設dha立した研究者の集まりだよ」
 三人で鍋を囲んでいた。
 理由は単純にお腹が空いていたからである。体力をつけるために鍋をするというエオ達に誘われたのでご相伴にマカ と はあずかることにしたのだ。
「当時のこの塔は今以上に謎に包まれていてね。女神教も入り込んでいなくて、なんとなく畏れおおい入ってはいけない場所、という感じの聖域だった。それをハナコが人の役に立てるために塔の内部を研究し始めたのが保護研究会の始まりだよ」
「今ではテロリスト集団と思われていますが」
「うふふ、それも間違いではないねマカ サプリ
 エオはこともなげに肯定する。ミモザは大根をかじった。
「所詮は研究者の集まりだ。人のためというのは建前で知的好奇心を満たすのが第一の集団なのさ。だから魔薬というものを生み出して大事件を起こしてしまった」
「え」
「その一件で保護研究会にはテロリストのイメージがつき、我々の失墜と共に教会が塔の管理の実権を握るようになったのさ」
 まぁ、いろいろな要素が重なったのさ、と彼は言う。
「そして保護研究会にはそれをわざわざ弁明しようという人間もいなくてね」
「……花子様は?」サプリメント マカ
「特に他人からの評判には興味がなかったみたいだね。放置してたようだよ」
「……………」
「まぁ実際に研究のためなら暴力もじさない人間も多く所属しているから間違いではないしね」
「マッドサイエンティストの集団か……」
 テロリストのほうが共通の目的意識があるだけまだ対策を取りやすいのかも知れない。
 エオが最初に『仲間意識が薄い』と言ったのは嘘ではなさそうだ。要するに協調性のない人間の集まりだと言うことだろう。
「でも何故みんな保護研究会に所属しているんですか?」
 興味がないならわざわざ悪いイメージの組織に入らなくてもいいだろうに、とミモザは思う。それに彼は「研究費用亜鉛 サプリ おすすめと環境のためだね」とあっさり返した。
「イメージ悪くても歴史と実績はあるからね。これまで所属してきた研究者達の集めた文献やレポートが所蔵されているし、貴族の中には研究成果が欲しいがためにこっそり寄付金を提供してくれる人もいるし」
「なるほどー」
 なんとも合理的な話だ。
「貴方の研究テーマは何なんですか?」
 ミモザは尋ねる。それに彼は煮えた卵を頬張りながら「不老不死」とあっさり告げた。
「不老不死……」
 確かバーナードも言っていた。
「今実現可能なのは魂を別の肉体に移すというものだけでね、そうじゃなくて肉体が滅びない方法を探しているんだ」
「魂は移す方法はあるんですか?」
「魂を移す方法は確立しているね」
「………物騒な話ですね」
「そうかな?」
「そうですよ」
 ミモザはうんざりと頷く。
「だって肉体ハイジャックができると言うことでしょう」
「肉体ハマカ サプリイジャックか。わかりやすくていい表現だね」
 エオはうむうむと満足そうだ。
「しかしそんなに簡単でもない。肉体には相性があって誰のものでも良いわけじゃないからね」
「どういうことです?」
「相性が悪いと魂が定着しなくてね。あとは定着しても記憶が崩れてしまうことがある」
 ミモザは少し考える。
「貴方の言う『魂』がもしも記憶だとしたら、それって不老不死とはちょっと違いそうですね?」
「うん?」
「肉体は他人、ということは、そこに記憶を移し替えても性格までは変わらないんじゃないでしょうか」
 例えば、前世の記憶があってもミモザはミモザのままであると思っているように。
「性格まで移せないのであれば、それはただの知識の伝授でしかないのでは? それとも人格まで移せるということですか?」
「それは難しい問題だね。なにせ移したのが記憶だけなのか人格そのものなのかを立証する術はないからね」
 エオは鍋の中を目当ての食材を探すように覗き込む。
「けれど例え移せるのが記憶だけだったとしても、その強い思いは残るんだよ」
 再び卵を拾って、エオマカは笑った。
「思いが残れば、それはある意味永遠ではないかな」
「段々とロマンチシズムの話になってきましたね」
「まぁ、不老不死なんてロマンだからね」
「研究者なのに?」
「研究なんてロマンがないとやってられないよ。今の技術ではできないことを実現するために研究してるんだから」
「なるほど」
 ミモザにとっては途方もない話に思える。確かにロマンを感じていなければ途中で挫けてしまいそうだ。
「まぁ、ボクの話はともかくとしてね」
 彼はシメのラーメンを放り込んで煮込む。水泳で冷えてしまった体にはありがたい食事である。
「聖剣の話なんだけど、元々剣があった異空間はどこにあるんだい?」
「もうありません」
 煮えた大根を鍋からよそいながらミモザは堂々と嘘をついた。
 何も馬鹿正直に話して彼らに面倒な逃亡先を提供するいわれはミモザにはない。
「聖剣が壊れると同時に消失してしまいました。なので僕は今ここに居るのです」
「……なるほどね」
 意外にもエオは納得したようだ。
「君に聖剣の力が宿っている様子もないし、見たところこの剣も本当にダメになってしまっている。……君に力が宿っていればぶんどれたのになぁ」
 ぼそりと付け足された不穏な言葉にミモマカザはぶるりと震えた。それに気づいてか気づかずにか、彼はにこりとミモザに笑いかける。
「この聖剣にはかつて女神が実体を持っていた頃に彼女が封印した邪悪な精霊が封じられていたと言われているんだ」
「えっ」
 ミモザは思わず食べる手を止める。
「解放されるって言われましたよ」
 もしかしなくともまずいのでは。冷や汗をかくミモザにエオは苦笑した。
「ああ、心配には及ばないよ。精霊の肉体はもう滅びてるから。復活はできないさ。解放とは魂の消滅のことだろう」
「は、はぁ、なら良いのですが……」
 よく知らずに手を出すものではないな、と反省する。一歩間違えば大災害だ。
「異空間を作るために聖剣の魔力を転用していたのだとしたら、その消滅と共に異空間が消えても不思議じゃない」
 そう言った後で、エオは感心したようにミモザを見た。
「消滅しなくて良かったね」
「え」
「異空間と一緒に消し飛んでもおかしくなかったと思うよ」
「…………」
 本当に迂闊なことはするものではないな、とミモザは猛省した。

 ロランと一緒に鍋を片付けて、ミモザは大きく伸びをした。これからまた泳いで祝福を手に入れに行かなければならない。エオが壊れた聖剣をいじっているのが視界に入った。
「聖剣欲しかったなぁ」
 思わずつぶやく。するとエオが顔を上げた。
「そうだね、じゃあ試してみるかい?」
「え?」
 返答が返ってきただけでも驚きなのに、さらに予想外のことを言われてミ亜鉛の効果モザは目を見張る。そんな彼女にエオは面白がるように笑いかけた。
「いにしえから伝わるおまじないでね、力を得ることができるらしい。よければ教えてあげよう」
「…………」
 ミモザはごくり、と生唾を飲み込んだ。

 数刻後、ミモザはーー、
「力をー与えたまえー、力をー与えたまえー」
 藁人形に釘を打ちつけていた。
 頭には火のついた蝋燭を2本、ツノのようにくくりつけ、顔にはべっとりと赤い染料を塗っている。
「がんばれーがんばれー」
 エオはその後ろで自分の杖にハンカチをくくりつけ、旗のようにして笑顔で振っていた。
「大丈夫なのか? あれ」
 ロランはドン引きした顔で遠巻きに眺めている。
「……はっ!」
 その時ミモザは天啓を得た。
「できる! 気がする!!」
 ミモザは近くで眺めていたチロへと手を伸ばす。チロは嫌そうにミモザへと近づくとメイスへと姿を変えた。
「はぁあ……っ!」
 気合いを入れてメイスを振る。
 するとそこにぼわん、と黒い煙のようなものが、球状にわだかまって現れた。
 それはミモザの全身と同じくらいの直径の球体だった。黒い煙は濃く深く薄まることがなく、そこにただぼんやりと浮かんでいる。
「は? 本当に効くのか」
 それに顔を引き攣らせてにロランは言う。
「いや、まさか」
 それをこともなげにエオは否定した。
「は?」
「プラシーボ効果ってすごいねぇ」
 プラシーボ効果。つまり、思い込み効果ということである。
「おまえ……」
「さてさて、どんな具合かな」
 ロランの非亜鉛 サプリ おすすめ難の視線を避けるようにエオはその黒い塊へと近づくと「ふむ」と一つ頷いた。
「……大丈夫なのか。こんな得体の知れないもんに近づいて」
 ロランも恐る恐るといった様子で近づく。それにエオは気づいて場所を譲るように移動するとロランの背後へと回り、
「ちょっと試してみなよ」
 とその背中を押した。
「どわっ!!」
 ロランはその黒い煙へと全身を突っ込む。
「な、何も見えん! 何をするんじゃっ!!」
「まぁまぁ、死にはしなそうだから」
 ロランは慌てて煙の中から飛び出してくる。そしてむず痒そうに手足をばたつかせた。
「あーなんか、ピリピリするのう。別に動くのには支障はないが、なんじゃろうな、これは」
 むむぅ、と唸る。
「ちょっと体が痺れた時のようなピリピリ感と、激しい運動をした後に長風呂から上がったあとのような倦怠感もあるのぅ」
「なんか心地よさそうだね」
「いや、なんかちょっとのぼせた後みたいな感じじゃ」
「あー、地味にだるくて嫌なやつだ」
「そんな感じじゃ」
「……もうやめてもらえませんかね」
 二人のやりとりをミモザは力無く遮る。どうやらこの黒い煙はミモザの二種類の毒をミックスした効果があるようだ。
 逆に言えばそれだけである。
 ミモザの精神力のHPはもうゼロに近かった。
dha epa dha亜鉛 サプリゴーヤマカ サプリ亜鉛 サプリ

 頭上には晴天亜鉛

 頭上には晴天が広がっゴーヤていた。
(塔の中なのに青空……)
 不思議だなゴーヤーとミモザはぼんやり見上げる。
「ーーですから!こんな危険なことはやめて、いったん外に!」
 チロもメイスの姿のまま「チチッ」と鳴く。彼女は綺麗な空だ、とつぶやいたようだ。
「塔の処遇については責任者でないとお話しできませんから、これ以上ここでゴーヤ チャンプルー粘っても……」
 その時、馬の野良精霊が再び突進してきた。それをバッターボックスにいるバッターよろしくミモザは迎え撃つ。
 ぐちゃ、と嫌な音がして馬の頭が飛んだ。
 ふぅ、と息をつく。もう野良精霊達をどのくらい倒したかわからない。100匹近くいっている気がする。1人20匹までという制限も、いつもの『仕事』同様、今回も人員救助のために見逃してくれるというお墨付きをもらっていた。
「あーアントシアニン、返り血がすごい」
「ていうかミモザさんも少しは説得に協力してもらえませんかね!?」
 黙々と野良精霊を狩り続けるミモザに、辛抱たまらんといった様子でジーンが怒鳴った。それに答えたのはミモザではなくジェーンだ。
「申し訳ありませんが、どなたに何を言われても私の意思は変わりません」
「ですって」
「ですって、じゃありませんよ!!」
 うーん、とミモザはうなる。
(だって無理だし……)
 狭い村の人間とすらあまりうまくコミュニケーションを取れていなかったミモザである。そしてクラスメイトにはいじめられていて友達が1人もいないミモザである。
 それが自らを人質にして立てこもる人を説得亜鉛
(ハードルが高すぎる)
 きっとレオンハルトならうまいこと口八丁で丸め込むのだろう。姉なら優しく諭すかもしれない。
 しかしミモザはーー、
「ジーンさん、だったかしら。わずらわせてしまってごめんなさいね。でも私達も必死なのよ」
 ジェーンは困ったように首を振った。
「私の娘は勇敢な子だったわ。そしてちょっと目立ちたがり屋だった。あの子の性格を考えると精霊騎士を目指すのは必然だったかも知れない。でもあの子が亡くなってしまって、思ったのよ。もしも塔を攻略するなんて選択肢がそもそも存在しなければ、そうしたらあの子は今でも元気だったかも知れない。そう思ってしまうのはそんなにおかしいことかしら?」
「……お気持ちはわかります、ですが、」
「まだ、精霊騎士として任務についていたとか、そういう理由ならばわかるの。けどそdhaうじゃないのよ。塔に挑んで亡くなるなんて、なんて無益な死に方なのかしら。誰かを助けたわけでもない、それをすることによって世の中が良くなるわけでもない。挑む必要性なんて何もないじゃない。だったら、精霊騎士になるための道標として塔の攻略をする必然性なんてないじゃない?」
「塔に挑むことで得られる女神様の祝福があります。その恩恵により僕たちは今よりも強くなれる。貴方たちの要望では、塔を完全に封鎖し今後誰も入れないようにするというものだ。例えどれだけ本人がそれを望んだとしても」
「そうよ、そうでなければ意味がない。だって娘は自ら望んで入ったのだもの。選択肢として完全に消失させなければ意味がないの」
「それでは……っ!」
 ジーンは苦しげに訴える。
「それでは僕は永遠に先生に追いつけなくなってしまう!!」
 もっともの訴えだとミモザも思う。先人達は女神の祝福を受けているのに、これからの若者はそれを受けられなくなる。それは世代間に大きな実力差という溝を作るだdha epaろう。
「それでも」
 しかしジェーンは静かに告げた。
「私は騎士になる以前に摘まれてしまう芽のほうが罪深いと思うわ」
「………っ!それは!」
「貴方にも、貴方を心配してくれる人はいるでしょう?それこそ貴方の先生は?ご両親は?貴方が塔に挑んで亡くなったら悲しむのではないかしら」
「そんなっ、そんなのは…っ!くそっ!」
 ジーンは悔しげに俯く。 
(なるほど、確かに『厄介』だ)
 その言葉を明確に否定できる人間は少ないだろう。
 その時、彼女はミモザの方を見た。お互いの目があったことにミモザは少し驚く。彼女は少し笑った。
「さっきから、貴方は何も言わない。……だんまりを決め込むのは楽でいいわね」
 その言葉にミモザは考え込む。
(楽。楽かぁ……)
 確かにおっしゃる通りだ。ミモザは楽だからずっと黙っていたのだ。だってミモザの仕事は死傷者を出さないことで彼女達の説得ではない。
(余計なことを言ってレオン様の邪魔になってもいけないし)
 沈黙は金だ。黙っている限り失うものはない。けれど、
「言えません、何も」
 そこでやっと、ミモザは口を開いた。
(けれど、不誠実ではあるのだろう)
 ジェーンの瞳を見つめる。彼女は静かにミモザの言ゴーヤ チャンプルー葉を待っている。
「子供を産んだことのない僕には、娘を亡くした貴方の気持ちなどわかりません」
「……っ、貴方には想像力がないの?」
 彼女はわずかに苛立ったようだった。その言葉はミモザにとって意外なものだ。
「想像でいいのですか?」
 思わず素直な疑問が口からこぼれ落ちた。
「よく知りもしない子どもに、想像でわかったような気になられて良いのですか?」
「……っ!」
「それならできますが、きっとそれは貴方の被った痛みとは程遠い。その程度の単純な想像で補えるような悲しみではないのでしょう」
 ジェーンは戸惑ったように黙り込んだ後、何かを諦めたようにため息をついた。
「あなた、馬鹿正直って言われない?」
「正直者ではありません。でもきっと、頭は悪い方です」
「そういう意味じゃないわ。ごめんなさいね、責めるようなことを言って」
 目を伏せる彼女に、ミモザは何かを言わなければならないような気がして口を開く。
「母親の気持ちはわかりませんが、僕はある人の娘なので、娘さんの気持ちは少しわかると思います。まぁ、それも僕の勝手な想像なんでしょうが」
 ジェーンは苦笑した。
「どんな気持ちかしら」
「僕の母親がこんな危険な場所にいたら、きっと僕は恐ろしくてたまらない。すぐに安全な場所に避難して欲しいと思います」
「……そう」
 何かを噛みしめるよポリ ペプチドうに彼女は俯いた。その表情はミモザからは見えない。
「貴方のお母様は果報者ね」
「いいえ。心労ばかりかけて申し訳ない限りです。あの母親のもとに産まれることができて、僕の方が果報者です」
 そう、そうなのね、とジェーンは噛みしめるように呟いた。それをしばし眺めた後、うーん、とミモザは首をひねる。
「それで、ええと、貴方は僕の意見が聞きたいのでしたね」
 それに驚いたように彼女は顔を上げた。そして困ったように笑う。
「いいのよ、もう。意地悪を言って悪かったわ」
「いいえ、この際だから言いましょうか」
 ミモザはゆっくりと首を横に振った。そして丁寧に彼女と視線を合わせ、告げた。
「僕は貴方達を卑怯者だと思っている」
亜鉛 の サプリマカサプリメント マカ

 第6の塔の祝福はdha epa dha

 第6の塔の祝福は、水中移動である。
 その名の通り、水の亜鉛 サプリ おすすめ中を移動できるようになる祝福で、ゲームの中では巨大なシャボン玉に入って水のゴーヤ チャンプルー中を移動していた。
 ミモザは今、第4、第5の塔をすっ飛ばしてここに来ていた。
 理由はーー、
(お姉ちゃんはゲームのことを知っている……?)
 マシューの発言だ。もしもステラがすべてを知っているアントシアニンの効果のだとしたら先にやっておかねばならないことがあった。
(いや、でも……)
 ゲームのことを知っているというにはマシューの言っていたステラの発言は少し違和感がある。
 ゲームの記憶を持つミモザとしては『繰り返している』という感覚はない。そのため『これから起こることがわかる』という発言には同意できても、『前回』『やり直せた』に関しては奇妙な発言であるという感覚を拭えない。
クロム(まるで本当にそうしたみたいな言い方)
 そこでハッとミモザは顔を上げた。
(ゲームの記憶じゃなくて、本当に『前回』の記憶があるのか……?)
 だとしたらその言い方にも納得がいく。
「チロ、どう思う?」
「チー」
 チロは肩の上で首を横に振ると、今考えたところで結論は出ないぞ、とミモザのことを諭した。
「……そうだね」
 とりあえず、ステラが『これから起こること』を知っているのは確かなのだ。
「準備を早く進めないと」
 そう言っている間に、ミモザは広大な湖へと辿り着いた。
 これが第6の塔の試練だ。
 ミモザはそdhaの湖へと足を踏み出す。
 試練の内容は単純明快、向こう岸まで辿り着くこと、その過程で湖の中に沈む鍵を見つけることだ。
 当然、湖の中には野良精霊がうじゃうじゃ泳いでいる。
 しかし今回のミモザのお目当てはそれだけではない。
 実はこの第6の塔には隠しステージが存在する。水中にある洞穴のうちの一つが異空間へと繋がっており、そこにあるアイテムがあるのだ。
 その名も聖剣。
 それを手に入れることにより、主人公の攻撃力が全体的に向上するというチートアイテムだ。
 これは難易度がイージーの際にだけ出現する隠しアイテムであり、手に入れなくてもゲームの攻略に支障はないが、手に入れればサクサク敵を倒せる便利お助けアイテムである。ステラは最初の塔で金の祝福を受けていた。ということはイージーモードのはずなのだ。
(それをお姉ち亜鉛の効果ゃんより先に手に入れる)
 あるいは破壊する。
 悲しいかな、これまでの経験からミモザは若干予防線を張るように心がけていた。
 自分ではダメだった時の予防線だ。
 例えゲーム上では見つけさえすれば誰でも使用可能という設定の聖剣であろうが、これまでの祝福がすべて銅という強制ハードモードのミモザでは駄目かもしれない。
(いや、いいんだ。お姉ちゃんの手に渡りさえしなければ……)
 もうそれ以上は望むまい。そう拳を握る主人にチロは同情するようにその頬を撫でた。

 ミモザは湖を泳ぐ。透明度の高い湖は見下ろすだけでその内部を覗き見ることができた。
 湖の底には人工物と思しき石造りの建物や石像がちらほら沈んでいる。それが何を意味しているのか、ミモザにはわからなかった。
(見つけた)
 その中に小さな白い石碑を見つけてミモザは大きく息を吸うと潜水した。
 この石碑が聖剣の在処を示す手がかりなのだ。
 この石碑には古代語が刻まれている。その古dha epa dha代語自体には大した意味はないが、全く同じ文字が三ヶ所に書かれており、それを繋げると三角形ができるのだ。その三角形が矢印の役割を果たしており、その示す通りに進むと次の石碑が現れるという寸法だ。それを辿っていけば最後は聖剣に辿り着けるはずだった。
 ミモザは石碑の文字を確認する。趣味のおまじない関連本の読書により鍛えられた古代語の知識でなんとはなしにその文章を読む。
「…………」
 そこには『最近の若者はなっとらん、目上を蔑ろにして……』という愚痴が延々と書かれていた。
(これを作った人、立場弱かったのかな……)
 聖剣を使えばそれなりの地位を築けそうな気もするが、隠しているということは隠した人物は使用しなかったのかも知れない。
 ミモザは気を取り直して三つの文字を探し、そして方向を確認するとその石碑をメイスの棘で貫き粉砕した。水上へと上がると矢印の方向へと適宜水底を確認しながら泳ぐ。あとはひたすらそれの繰り返しだ。
 塔の内部は基本的に石造りなのだが、所々光を放っている石が頭上にも水底にも存在していてある程度の視界は確保できていた。もしかしなくとも暗視の祝福があればもっと見ゴーヤ チャンプルーやすいのかも知れない。
 時々似たような石造りの像などに騙されることもあるが一つ一つ確認しながらミモザは進む。ついでに手がかりの破壊も忘れない。
 ステラに一周目の記憶があるのならば記憶を手がかりに聖剣を探せばいいため、この破壊行為は無意味だと思われるかも知れないが、実は有効な戦略である。
 何故なら聖剣の位置は一周目と二周目で異なるからだ。
 もちろん、ゲームの記憶があるのならば、そしてニ周目をプレイしたことがあるのならば石碑がなくても聖剣の位置はわかるだろう。その場合は隠蔽工作としての意味はない。しかしこうすることでステラの反応から彼女にある記憶が『前回の記憶』なのか『ゲームの記憶』なのかを判断する材料になる。
 場所が見つけられなければステラにあるのは『一周目の人生の記憶』、場所が見つけられるのならばステラにあるのは『ゲームの記憶』だ。
 確認するタイミングがあるかどうかわからないが、後々参考になれば儲けものである。
 ふいに、潜水するミモザの頭上に黒い影が差した。それは巨大なワニの姿をした野良精霊だ。彼はミモザに気づくと同時にものすごい速さで急降下してきた。
 そしてごぽっ、と音を立てて泡を吹きながらその動きを止めた。ミモザがメイスの棘でワニを刺し貫いたからである。しばらく力無くもがいアントシアニンていたが、やがてその動きを止めたワニに、ミモザはメイスの棘を引っ込めた。そのままワニは水上へと浮かんで行く。周囲にワニの血が広がり視界が悪くなったので、ミモザも一度水面へと浮上した。
「……ぷはっ」
 ぜいぜいと肩で息をする。さすがに長時間水泳と潜水を繰り返すのはきつい。
「筋肉がなかったら断念していたかも知れない……」
 やはり筋肉は素晴らしい、としみじみとつぶやく。
 ちなみにゲームでのステラは合成スキルで船を作って移動していた。そして鍵の光が見えた時だけ潜水するのである。
 ではミモザは何故そうしないのか? 答えは簡単である。
 銅の合成スキルでは大きい物は作れないからである。
 ミモザは無言で頭上をふり仰ぐ。
 別に気にしてはいない。今更である。
 何故か湖の水なのに若干塩辛く感じるがこれは誰がなんと言おうと気のせいなのである。
「やばい……、挫けそう」
 上半身だけ水面に出しながら思わず顔を両手で覆うミモザに、チロはメイス姿のまま、今挫けたら死ぬぞ、と忠告をした。
 そうこうしているうちにやっと終点にたどり着いたらしい。潜水するミモザの目の前にぽっかりと口を開いた洞窟が現れた。中は暗闇で見通すことはできない。
「…………」
 ミモザは覚悟を決めると、その洞窟の中へと飛び込んだ。

 洞窟の内部は緩やかに上方へと昇る坂道になっていた。少しずつ幅の狭くなる道に引っかからないように注意しながらミモザは進む。すると急に開けた場所に出た。ずっと岩だらけだった足元は砂に変わり、ミモザは水面目掛けて上昇亜鉛 サプリ おすすめする。
「……はぁっ、はぁっ」
 あたりを見渡すとそこは入江のようになっていた。もう少し進めば足がつきそうだ。岸を目指して泳ぎ、久しぶりにミモザは地面へと足をつけた。
「間違いない。ここだ」
 最後の石碑が砂浜に刺さっている。ミモザはその向きを確認するとメイスですかさず壊し、足を進めた。
「………?」
 一見すると、それはただの行き止まりで、塔の壁である岩壁があるだけのように見えた。
「いやでも、確かにこっちに矢印が……」
 ミモザはその付近の岩壁を手で撫でる。すると1ヶ所だけやけに冷たいことに気がついた。
「…………」
 水中で拾っておいた鍵をミモザは取り出す。それは当然のように銅だったが、今は色は関係ない。
 それを冷たい岩に押し付けた。
「………っ!?」
 とたん、ミモザは引力のようなものに引っ張られてその中へと吸い込まれた。
亜鉛 の サプリ亜鉛 サプリ おすすめアントシアニンゴーヤ チャンプルー

 レオンハルトはdha

 レオンハルトは英雄である。
 国に被害をもたゴーヤ チャンプルーらすボス精霊や狂化個体を撃ちゴーヤ チャンプルー倒し、隣国との親善試合で勝利を収めるなどの数々の手柄を挙げたことにより、平民にも関わらず聖騎士の称号とさらには爵位まで賜ったまさに実力ですべてを手に入れたサクセスストーリーの持ち主だ。
 クロムつまり何が言いたいかと言うと、
 天才は人に物を教えるのに向かない。
 その事実をミモザは今実地で味わっている。

 彼は言った。
「まずは手本を見せよう」
 それはまぁ、いい。そしてさらにこう続けた。
「人間は追い詰められた時に本領を発揮する」と。
「ひぃーー!!」
 衝撃波がミモザの髪をかすめる。
「はっはっは!逃げてるだけじゃ修行にならないぞ!」
 かくして地獄の鬼ごっこクロムの幕が開けた。

 再びレオンハルトの剣から斬撃が衝撃波として放たれる。ミモザはそれを死に物狂いで避けた。
「なにをしてる。同じように攻撃して相殺しろ」
(いや失敗したら死ぬんですが!)
 どうやらレオンハルト的にこの攻撃は見本を見せているつもりらしい。
(なにをしてるじゃない!)
 貴方のほうこそ一体『なにをしている!』と言いたい。
(言えないけど!)
 また衝撃波が放たれた。ミモザが隠れていた岩がチーズのように真っ二つになる。
 ミモザがあちこちの木や岩を盾にしたせいで周囲は大惨事だ。
(まずい……っ)
 遮蔽物が破壊され尽くし、盾にするものがなくなった。
 レオンハルトが犬歯をマカ剥き出しにしてにぃ、と笑う。
「さぁ、防いでみせろ!」
(死ぬ)
 ひやりと冷たいものが体に走る。その時ミモザの身のうちに湧き上がってきたのはどうしてこんな目に合うのかというレオンハルトに対する理不尽な怒りだ。
 学校でいじめられている時も感じていた。もう傷つきたくない。傷つけられたくない。もう誰にも傷つけられるのはーー、
「いやだっ!!」
 その瞬間、一気に膜のような何かがミモザの周りに広がり、レオンハルトの斬撃を防いだ。
「……え?」
 手の中からメイスが消えている。目の前には棘が何本も突き出た半球状の透明な壁が広がっていた。
「防御形態か。なかなか硬そうだな」
 近づいてきたレオンハルトがそれを剣でガンガンと強度を確かめるように叩く。
「防御形態……」
 パッと思わずメモ帳を取り出して確認する。確かゲームのマカ と は中でミモザが使っていたものだ。メモには正式名称がわからないので見た目から『ウニの盾』と書いていた。とりあえず使うことが出来たのでチェックをつける。
「なんだそれは?」
「……っ!」
 ミモザのメモ帳をレオンハルトは興味深そうに覗き見ていた。驚いている隙にメモ帳を取り上げられる。
「あっ、それは、なんというか、こういうのが出来たらいいなーっていうやつで!」
「ほぅ?」
 しげしげと内容を検分して、「よくできているな」と彼は頷いた。
「基本を抑えているし、どれも実現可能そうなものばかりだ」
「いやー、ははは……」
 そりゃそうだ。
 どれもゲームの中の『ミモザ』が使っていた技なのだから。
「印がついているのはもう出来ているものかな?」
「はい」
 ふむ、とレオンハルトは一つ頷くと「よくわかった」と言ってミモザにメモ帳を返した。
(何がわかったんだろう)
 嫌な予感がする。猛烈に。
「まずは防御形態のおさらいをしよう。一度できたからと言って満足してはいけない。いつでも自分の意思でできるようにならなけゴーヤ チャンプルーればな」
 言っていることはごもっともだ。ミモザは頷いた。
「それからメモに書かれていた他の技に関しても可能になるよう協力しよう。ようはその技を出さねばならない状況に追い込めばいいんだ」
 その発言にはミモザは首をぶんぶんと横に振った。次に起きることの予想がついたからだ。
 しかし事態はミモザの予想を裏切った。悪い方向に。
 レオンハルトは笑顔でミモザのことをがしっと掴むと両足に縄を巻き始めた。
「あのー、これは……」
「先ほどので君は追い詰められれば本領を発揮できるということが実証された。しかしちょこまかと逃げ回られると面倒だからな。動けないようにしよう」
 そのまま剣を地面へと打ち付ける。一瞬で地面にぼこっと穴が開いた。煙がたっているところを見るに、おそらく蒸発したようだ。
 そこに縄で結えた両足ごと下半身を入れられて埋められた。
「あの、ご慈悲をいただけないでしょうか?」
 一応聞いてみた。
「これが俺の慈悲だとも」
 笑顔で返された。聖騎士というより魔王の笑みに見えた。
クロムマカ と は亜鉛 サプリ

 第4の塔の中身はゴーヤ

 第4の塔の中身は見渡す限りの草原だった。とこアントシアニンの効果ろどころに沼地があるものアントシアニンの遮蔽物が何もないだだっ広い空間の真ん中で、彼らは身を寄せ合って座っていた。それぞれめいめいに『試練の塔閉鎖!』や『これ以上の犠牲者を増やすな!』と書かれた看板やのぼりを手に掲げている。
(どうしたものか)
 その集団の中アントシアニンにあって、マシューは頭を悩ませていた。このような事態はまるっきり彼の想定にはなかったからだ。
 彼の若草色の髪が風に流れる。深い森のような緑の瞳は冷静に周囲を見回した。そばかすと丸顔のせいで若く見られるがマシューは15歳の成人済みの青年である。この中では若造の部類に入るが事情もよくわからず連れてこられた子ども達よりは大人だ。こうなってしまった以上、マシューには子ども達を守る責任がある。
「塔の開dha放はんたーい!安全のために閉鎖しろー!」
 その時1人の老人が声を張り上げた。何が楽しいのかその顔には満面の笑みを浮かべている。
 思わず舌打ちをする。
(あいつさえいなければ……)
 あの男、ロランが今回の立てこもりの首謀者だ。マシューは反対したが、先日の失策のせいで聞き入れられなかった。だとしてもこのような強行策をみんなが支持するとは、マシューが思っているよりも改革がうまくいかないフラストレーションが溜まっていたらしい。
 マシューの推測ではあの老人はおそらく保護研究会の過激ゴーヤ派だ。そうでなければ今回の行動を推し進める説明がつかない。この立てこもり行為はあまりにも割が合わなさすぎる。利益を出すためには、そう、例えばここで人が死ねば人々の非難は教会に向くかも知れなかった。彼はマシュー達被害者遺族の会を捨て駒にするつもりなのだ。
(くそっ、どうしたら)
 しかし今それを仲間に伝えたところで通じないだろう。そもそもこの作戦の無益さはとうに訴えた後である。マシューには先導者やリーダーとしての才がない。あくまで裏方で策を練るのみで人の上に立つことが難しいのだ。
(だからこそ、彼女に)
 ちらり、と人の輪の中心部を見る。そこにはジェーンが背筋を伸ばして座っていた。
(彼女には人を惹きつける力がある)
 dha epa dhaマシューにはないものだ。マシューはジェーンにリーダーになって欲しかった。
 マシューは自身の守護精霊である白い毛をした子猿、キースを見た。
(いざとなったら俺が盾になる。みんなを生きて返す)
できることならそんな事態は考えたくもなかった。
 
 一体何時間が経っただろう。あらかじめ用意していた水筒の水は尽きてしまった。それまでは何もいなかった草原にはちらほらと馬型の野良精霊の姿が見え始めていた。彼らはまだこちらの様子を伺っているが、襲って来るのは時間の問題だろう。最初は威勢の良かった仲間達も、その数が20を超えたあたりで恐怖のほうが勝ってきてしまっている。
「お、お兄ちゃんっ」
「大丈夫。大丈夫だからな。俺のそばを離れるなよ」
 子ども達がしがみついてくるのを抱き返す。
「なーにをびびっとる!これはぁ!我々の家族のため!これ以上の犠牲者を出さないための勇気ある行動である!!」
 元気なのはロランだアントシアニンの効果けだ。
「おい、大声を出すなっ、下手に刺激をしたら……」
 襲って来るぞ、と言い切る前に、馬のいななく声がした。
「き、キース!」
 マシューの声に反応してキースは防御形態の盾となりその突進を防ぐ。しかし相手は一頭だけではないのだ。次々と襲いくる野良精霊に、キースは防戦一方だ。
「み、みんな!早く!今のうちに避難を!!もういいだろう!」
「で、でも……」
 迷うように、けれど挑むこともできずに立ちすくむ仲間に、マシューは怒鳴る。
「もう充分に抗議の姿勢は見せた!これで俺たちが本気だと教会にも国にも伝わっただろう!成果はあげた!撤退だ!」
 その必死の叫びにはっとした顔になり移動を始めたところで、
「ならぬ!!」
 ロランが立ち塞がった。白髪を振り乱し、手には槍を持っている。
「我らが同胞よ!まさか臆病風に吹かれて逃げる気ではあるまいな!そんなことでどうする!家族は!大切な家族を二度も見捨てる気か!!」
 その一喝に立ちすくむ。ロランはここから先は一歩も通さんという態度で仁王立ちをしていた。
「……っ!逃げろ!」
 その時キースの盾をすり抜けた1匹がジェーンのマカ下へと向かった。彼女は驚いたように身を引き、しかしそれ以上は動けずに、
「ジェーンさん!」
「これは大いなる一歩である!!」
 マシューの叫びとロランの高笑が重なった。
 ーーと、がこん、と妙な鈍い音がした。
 呆然と見つめるマシューの目の前で、その馬の首は跳ね飛ばされた。
 血飛沫が舞う。そんな悪夢のような光景の中で、場違いに美しい少女が立っていた。
「どうやら間に合ったみたいですね」
 涼やかな声がする。金色の髪が風になびき、その深海のような瞳がマシューのことを見た。
「すみません、遅くなりました」
 まるで待ち合わせに遅れた報告のように、呼ばれていないはずの彼女はそう言った。
 そこで初めてマシューは彼女の持つ巨大なメイスが馬の首をへし折ったのだと理解した。
ゴーヤゴーヤ チャンプルーアントシアニン